2022/2/25

東大IPCキャリアイベントDEEPTECH DIVE Live!第2回「ロボット×AI」ハイライト書き起こし ※動画あり

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東大IPCのオンラインキャリアイベント「DEEPTECH DIVE Live!」第2回を2021年6月24日に開催しました。このイベントは、東大IPCの運営するキャリアコミュニティサービスDEEPTECH DIVEとゆかりのあるベンチャーの皆さんにご登壇いただき、最新テック、起業エピソード、直近の募集職種などについてざっくばらんにトークしていただくというもの。

今回は「ロボット×AIの最新テックで、ヒトの労働環境改善に挑む!」をテーマに、当社の出資先であるロボット系スタートアップ3社の経営者にご登壇いただきました。

このnoteでは、トークの後半のQ&Aコーナー(参加者のみなさんからご質問を受け付けました!)の一部をお伝えします。

▼登壇者(順不同)
TELEXISTENCE inc. 代表取締役CEO 富岡仁氏

富岡仁氏

2004年三菱商事入社、海外電力資産の買収などに従事。東京大学の舘名誉教授のテレイグジスタンス技術に魅了され、2017年1月にテレイグジスタンス株式会社を起業。2018年5月量産型プロトタイプ開発に成功。2020年に半自律型遠隔操作ロボットModel-Tのコンビニへの実装を実現。小売業界における拡張労働基盤の構築やロボットの活躍の場を工場の外に広げ、社会の基本的なあり方を変革することを目指す。

HarvestX株式会社 CEO 市川友貴氏

市川友貴氏

2020年、千葉工業大学情報工学科卒業。在学中に個人事業主として、農業用組み込み機器や植物工場のFA設計などを請け負う。その過程で植物工場の課題や可能性を認識し、 HarvestXプロジェクトの立ち上げ、「虫媒に代わるいちごの自動授粉ロボットシステムの開発」で未踏スーパークリエータに認定される。その後、東京大学本郷テックガレージで出会った服部氏、渡邉氏と共にHarvestX株式会社を設立。

コネクテッドロボティクス株式会社 取締役COO 佐藤泰樹氏

佐藤泰樹氏

新潟県出身、2008年上智大学理工学部物理学科卒業後、組織コンサルティングのリンクアンドモチベーション、IT企業、外国人就職支援企業を経て、2017年に独立を目指しHIS澤田氏が理事長を務める澤田経営道場に入塾。ロボットたこ焼き店のオクトシェフ店長、ロボットコーヒー店の変なカフェ店長を経験後、2019年より現職。
趣味はバドミントン、釣り、ブラジリアン柔術。経産省始動3期生シリコンバレー派遣メンバー。

さて、イベントではこの三社の持つ独自のテクノロジーと業界動向についてお聞きしたあと、会場からの質問にお答えいただきました!

Q. 会社のビジョンに込めた想いはなんですか?

HarvestX株式会社・市川友貴CEO「僕自身、食べることが好きなんです。ロボットの開発と活用によって、農業における人手不足や肉体的な負担を解決したいという気持ちももちろんありますけど、やはり『食は大切だ』という思いが根底にはあります。

自動受粉ロボットは、これまで植物工場の中では難しかった受粉を容易にして、果菜類の計画的な栽培を可能にするものです。ただ、世界的に見てミツバチが減少しているので、植物工場に限らず受粉をどう補助していくのかというのは各地で問題になっているんです。なので、それを技術で解決できたらいいですね。

食糧というのは人間にとっての基盤のひとつなので、その安定化は重要なことだと考えています。2020年の新型コロナの感染拡大期には農産物の輸出をしぼった国もありましたよね。日本は自給率が低いのでそういったリスクもあります。その意味では、新しい食のライフラインをつくりたい、ということがビジョンですね」

ソリューション

コネクテッドロボティクス株式会社・佐藤泰樹COO「僕らのビジョンは『調理を技術で革新する』というもの。わかりやすく、シンプルにということで、創業時からのキーワードである、調理・ロボット・イノベーションという3つを掛け合わせたフレーズにしています。

高齢化という話でいうと、例えばシアトル系コーヒー店などでは若い方がたくさん働いていますが、僕らの技術を導入していただいているチェーンのお蕎麦屋さんなんかはおじいちゃん、おばあちゃんが労働の主たる担い手になってきているんですね。働いているのは50代から上の中高年の方がメインです。そういう環境ですと、メニューがあまりに多いと覚えきれないとか、作業動線で歩く歩数が多いと足腰への負担が大きいとか、そういった課題が生じます。

飲食業の中でも回転すし店なんかでは大きなイノベーションが起こったんですけど、それ以外の調理の現場はそうではない。そこを解決して、オペレーションをもっと簡単にするものとして僕らの調理ロボットがお役に立ったら、と思います」

3つの提供価値

テレイグジスタンス社・富岡仁CEO「我々が会社として実現したいのは、ロボットの使われるシーンや市場を、工場の外に広げていくということ。ニューラルネットワークによってコンピュータビジョンにブレイクスルーが起こり、現代はまさにロボットが工場の中から外へと飛び出していく瞬間なのだと思います。

ただ、そのときにやはりいろんな課題があって、まずは、そもそも工場の外の動的な環境の中では、コストも含めて最適化されたハードウェアがないということですね。例えば最近よく、ユニバーサルロボット、協働ロボットの実演としてコーヒーを淹れている動画なんかを見かけるんですけれども、あれこそまさに最適化されていない代表例なんです。100gのコーヒーカップを持つのにペイロード(運搬能力)10kgのロボットは必要ないので、あれは完全に余分なコストを払っていることになるんですね。だからそういう余分のない、過不足のないハードウェアをどうつくるのかという課題がひとつあります。

あとは、コントローラでティーチングをするという部分もいまものすごくコストが高くて、かつ柔軟性がないんです。そこを新しい方法でやらない限り、ロボットが社会の中で普及しないだろうと踏んでいますので、そういった技術的な課題を解決して、社会にロボットを実装していくっていうのが最終ゴールです」

事業目的

Q. これまでの失敗事例はなんですか?

コネクテッドロボティクス株式会社・佐藤泰樹COO「大失敗とかではないんですが、昔、長崎のハウステンボスにたこ焼きロボットを導入したときの笑い話で、『朝と夕方になるとロボット動かない事件』っていうのがあって、もうあわててその場で調整したんですけれども(笑)。焼き具合を画像認識していますから、朝日と夕日の時間帯は白っぽくなったり赤っぽくなったりと対象物の色みが変わって認識できなくなっちゃうんですね。やっぱりそういう現場に持っていって初めてわかるトラブルっていうのはあります。

あとはどれだけカンタンに使ってもらえるかっていうのが大事ですね。例えば、たこ焼き機、ロボット、コンピュータ、それぞれの電源を入れる順番なんかもきちんと納品時にお願いしても、どれだけ番号をそこに大きく書いておいたとしても、実際に使ってくださる従業員さんは入れ替わりますし、絶対に間違いが起こるんですよ。だから最終的には電源も一元化しました。

飲食業の現場では、みなさん忙しいですし、僕らの思った通りには使ってもらえない。iPhoneには説明書がなくてもみんなが使えるじゃないですか。それと同じようにしないといけないんです。もちろんマニュアルはつくるんですが、それは読んでもらえないものと考えて、その前提で絶対に現場の方がわかるようにつくらないといけないんだと思っています」

長崎ハウステンボス(2018年7月〜)

テレイグジスタンス社・富岡仁CEO「ロボットでの大失敗ではないのですが、ベンチャーを立ち上げて、人の採用というのは失敗したなと思った瞬間があります。やっぱり我々としてはものすごく優秀な人を集めたいんです。始めたばかりの頃は、人材の『優秀さ』というのは、スキルとか頭の良さとか、経験、経歴とか、そういうものだと思っていたんですね。

ただスタートアップっていうのはスピードも求められますし、プレッシャーもありますし、一般の企業とは環境が異なります。ベンチャーで結果を出すためには、実は優秀さだけではなく、強い動機が求められるんですね。動機づけが甘いと高いプレッシャーの下では続かなくなってしまうんです。

だから創業期に採用した優秀な方で、いまも残っている方というのは実は少ないんですよ。途中から採用過程を変えて、『働く動機』というものを選考のひとつの要素としてはっきり考えるようになってからは、離職率がぐっと下がりました

ローソン店舗でのピッキング業務

HarvestX株式会社・市川友貴CEO「いまはプラントをつくってイチゴを育てているのですが、以前は他の企業の植物工場を間借りさせていただいたり、僕自身がプランターで育てたり、水耕栽培したりすることで実証実験を続けてきました。

ただ、僕自身が植物のお世話というのが苦手で、観葉植物なんかもすぐに枯らしてしまうほうなんです(苦笑)。なのでイチゴを枯らしてしまうということが何度もありましたね。それで実験ができなくて困るという……それが失敗といえば失敗ですね。

あ、いまですか? 今年新設したイチゴプラントでは全自動で水やりができるようにしましたので、大丈夫です(笑)

イチゴにまつわる失敗

▼なお、セミナー中は、このようにチャット欄での参加者と登壇者とのQ&Aも見られました!

toxxxxxxxga 07:57 PM
富岡さんに質問します。ハンドに注力しているようですが、紹介いただいた人型ロボットの開発時間でいうとハンド開発の占める割合はどの程度なのでしょうか。

Jin Tomioka 07:59 PM
エンドエフェクターの開発、あとはロボットのボディの開発も全て同時並行で進めましたが、感覚的にエンドエフェクターの開発は3ヶ月程度かと思います

toxxxxxxxga 08:01 PM
回答頂きありがとうございます。
スピード感のある開発をしていらっしゃるように見受けられました。

Jin Tomioka 08:13 PM
ありがとうございます

次回イベントは2021年8月26日(木)19:30〜!

本番中、ここではご紹介しきれないほど内容の濃い情報が飛び交っていましたので、ご興味を持たれた方はぜひ次回セミナー『戦略コンサル出身者×スタートアップ経営』にお気軽にご参加ください!

戦略コンサル出身者×スタートアップ経営

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