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東大IPCオンラインキャリアイベント第3回「戦略コンサル出身→ベンチャーCEO」ハイライトレポート ※動画あり

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東大IPCのオンラインキャリアイベント「DEEP TECH DIVE LIVE!」第3回を2021年8月26日に開催しました。このイベントは、キャリアコミュニティサービスDEEP TECH DIVEについて知っていただくために、東大IPCの支援するスタートアップ企業にご登壇いただき、業界の動向、起業エピソード、直近の募集職種などについてカジュアルにお話しいただくというシリーズです。

今回は、東大法学部から大手コンサルティングファームを経て、ベンチャーCEOとしてご活躍されている御二方にご登場いただきました。こちらのnoteでは、要約してトークセッションの内容をお伝えします。

▼登壇者プロフィール(順不同)

ワンドット株式会社 CEO 鳥巣 知得氏

https://www.facebook.com/chitokutosu/

東京大学法学部在学中の起業、ナップスタージャパン株式会社にて経営戦略部長を経て、ボストン・コンサルティンググループにてプリンシパルとしてインターネット領域を中心に新規事業開発やグローバル戦略に多数従事。BCG Digital Ventures東京オフィスの立ち上げを経て、2017年にワンドットの代表取締役CEOに就任。
ワンドットでは、中国最大級の育児動画メディア「Babily」事業、中国デジタル戦略・マーケティング支援事業等を展開中。

株式会社カイゴメディア 代表取締役社長 向笠 元氏

https://www.facebook.com/mukasa.hajime/

東京大学法学部卒。ドリームインキュベータ(DI)にて、コンサルティング、ベンチャー投資に従事。DI投資先である株式会社リバリュー代表取締役に就任し、その後オークファンへ株式譲渡。戦略コンサルタントとして独立し、介護関連企業への戦略立案、M&A支援に従事。
2018年、カイゴメディアを設立し、介護領域に特化した動画・SNSメディア運営、採用支援に取り組む。東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)ジェロントロジー・アカデミー会員

巨大市場への挑戦――中国でNo.1育児動画メディアを立ち上げ

――まずは鳥巣さんから、キャリアと現在の事業について教えてください。

鳥巣:ワンドットという会社で、中国の育児動画メディアを運営しています。もともとはユニチャームとボストンコンサルティングのインキュベーションプロジェクトとして始まったものでした。わたしはナップスターなどのインターネット系企業を経たのちにBCGで働いていたのですが、コンサルファームでの最後の仕事がこの中国での新規事業開発だったんです。

立ち上げ当初は北京、広州、上海の3都市で入念な調査をして、100名以上の中国人のお母さん方からヒアリングを行いました。今でも中国の育児市場については相当に詳しいと自負しています。

中国市場に挑んだのはやはりマーケット規模が大きいから。中国の育児市場は年間50兆円、日本が3兆円ですから、国内の15倍の巨大市場です。また15%の成長率を誇っていて、いずれは100兆円にも届くという予測が出ています。

巨大市場への挑戦――中国でNo.1育児動画メディアを立ち上げ

子育てに悩む若い世代の親たちに、情報ツールを提供

鳥巣:一方でペインの深い領域でもあって、その要因の一つが世代間ギャップです。日本では3世代くらいかけて変わってきた育児に関する価値観というものが、中国では1世代で変わってしまっているような状況です。ですから、子育てに悩んで親に相談しようとしてもケンカになってしまってできない。そこで新しい情報ツールが求められていました。

また、メディア環境の変化も日本に比べて急激です。育児情報を得るためのツールが、日本だと病院や書籍、また自分の親から知識を得るというところから、20年以上前に育児雑誌というメディアが登場して、その後、インターネット、そしてその中でもSNSというものへと移ってきました。中国ではそういった過程を全部すっ飛ばしてもういきなりSNSにガラッと切り変わったんですね。

そこで、安心して情報を得られる場としての育児ウェブメディアのニーズがあったんです。我々の運営する「Babily/ベイビリー」は現在では40以上のSNS上で展開していて、フォロワーは1,500万人を超えます。最近ではアプリ上でのミニプログラム(小程序)が主要コンテンツとなってきていて、年間100万人の妊婦さんが新規登録してくれています。現地ではNo.1育児動画メディアだと自負しています。

子育てに悩む若い世代の親たちに、情報ツールを提供

中国のデジタル環境への知見を武器に、欧米・日系企業の進出をサポート

鳥巣:この数年間で中国では若い世代を中心に、ペットを飼う人が増えてきています。そこでペットの健康管理アプリをローンチしました。ペットの健康記録をつけたり、動物病院検索ができてそこから病院に送客したりするサービスです。順調に伸びてきています。

そのように育児メディアで培ったノウハウを展開して他事業に広げるということもしていますし、あとやはり大きいのは日本や欧米の企業の中国市場への進出支援ですね。

中国のデジタル環境への知見を武器に、欧米・日系企業の進出をサポート

我々は中国のデジタル環境でサービスを運営し、短期間で成長してきました。先端メディアやテクノロジーといった点で大きな強みを持っています。中国のデジタル環境の特殊性を知り抜いていますから、育児や消費財はもちろんのこと、さまざまな領域の企業に対して、ウェブメディアやアプリを活用した新規事業立ち上げや既存事業のDXを支援しています。こういったマーケティング支援も事業の柱の1つになってきていますね。

長年関心を寄せてきた介護領域でコンサルティングから起業へ

――鳥巣さん、ありがとうございます。では、次に向笠さん、お願いします。

向笠:カイゴメディアという会社で、介護に携わる人に向けてメディアを運営しています。もともと母が介護職で、ずっと介護の仕事についての話を家庭で聞きながら育ってきたというバックグラウンドがあります。

東大を出たあとドリームインキュベータという会社でベンチャーへの投資事業を行っていました。そこからフリーになったあとの2年間、介護領域で5社ほどの企業のコンサルティングをしたあと、2018年にいまの会社を開業したんです。

介護系のYouTube番組では登録者数がナンバーワンの『ケアきょう』というチャンネルを運営しています。介護業界で働く方向けの動画メディアで、見て下さっているのは主に介護職に携わるみなさんです。ここの月間UU数が30万人で、ここからのメディア広告収入があり、またそれとは別の柱として介護職の採用支援による収入があります。

長年関心を寄せてきた介護領域でコンサルティングから起業へ

またこのように介護に関する知見、またその世界で働くユーザーさんのネットワークを持っていますので、介護業界に新たに参入を考えている企業へのサービス・商品開発支援も行なっています。

「人手不足」という介護業界の恒常的な課題に向き合う

向笠:なぜメディア運営、そしてマッチングに携わっているかというと、介護業界全体のもっとも大きな課題として「人材」が挙げられるからです。やはり介護領域の企業からお話を伺うと「人が採れない」「定着しない」「離職率が高い」という悩みをまずみなさん一番におっしゃいます。一方で働き手である介護士さんにお尋ねすると「働きづらい」「ストレスがたまる」と悩んでいらっしゃる。

また「業界スタンダードがどこかわからない」という声も多いんですね。それぞれの現場のことはわかっていても、業界の中で何が正しいのか、どんなやり方や働き方が「フツー」なのかが見えにくい環境なんですね。それで、動画やSNSを使ってその溝を埋めるような情報発信ができればと努めています。

動画・SNS上のコンテンツ(例)

実際に発信している内容としては、業界内での変革者へのインタビュー、介護を経験してみたいと希望されるタレントさんの体験談、また医師や介護福祉士など専門職の先生による知見・ノウハウなどです。ていねいな情報発信を通して、介護業界のイメージアップと活性化を図っていきたいと考えています。

メディア事業

コンサルで培ったビジネススキルは、ベンチャーでも存分に活きる

――スタートアップのCEOとして、コンサル出身でよかったと思うことはありますか?

鳥巣:コンサルでの経験は、1から10まで全て役に立っているなという気がしますね。調査や新規事業開発においてももちろんそうですが、特にグローバルに働くということについてはコンサルティングファームで働いていた経験の優位性が大きいと思います。

海外に行くと、人脈で差がつくという場面はそこまでないと感じています。グローバル人材として互いに相対する上で、グローバル・スタンダードでのマネジメントや、インテレクチュアルリーダーシップが重視される気がしています。この人の話していることが内容としても信頼が置けるから、だからついていこう、という判断を下される。その点でBCGで働いていたことは非常に役立っていると思います。

向笠:コンサルで働いてよかったことといえば、やはり投資家さんと向き合うときに、市場調査をして事業計画を立てて話をするということがあたりまえのこととして身についているというのは役立ちますね。

社会の直面する課題に、スタートアップで応えていく

――「育児」「介護」という分野での起業は、大きな社会課題解決にもつながりますね。どんな思いを持って取り組んでおられますか?

向笠:やはり、起業にチャレンジしたきっかけは母が介護職として働いていたことが大きいんです。フリーのコンサルタントとして介護業界で仕事してみた2年間に、社会的な課題、今後20年ほどかけて日本が解決していかないといけない課題が非常に大きいということを実感しました。ただ、課題が大きいというのは裏返せばビジネスチャンスも大きいということなのでは、とも考えたんです。

やはり増えつづける高齢者の方、カスタマーに対して、介護職の人々、サービスの供給側がなかなか追いつかないということが最も大きな課題なんです。その解決方法としては大きく分けて3つのアプローチがあります。

要介護を減らす、生産性の向上、労働供給を増やすという3つのソリューション

向笠:1つ目は、自立支援介護。これは要介護にならないように防ぐ、というものです。かつて医療費削減のためのメタボ予防がさかんに言われましたが、それの介護版だと考えていただくと分かりやすいと思います。

2つ目は、働く人の生産性を上げるというもの。これはテクノロジーの話でいうと、見守りセンサー、負担軽減ロボットとかパワードスーツなどが開発されています。働く人の業務量、ストレスや疲労を減らして維持するという方向性の解決策ですね。

そして3つ目が、働く人の人数を増やすというもの。うちは特に3つ目の労働供給をどう増やすかという課題に取り組んでいて、業界全体のイメージアップのために情報発信をしたり、また介護人材の確保のための採用支援をしたりしています。

なお、こういう機会ですので東大とのつながりということをお話しすると、東大IPCから投資という形で支援を受けていることももちろんありますが、会社として東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)のジェロントロジー・アカデミー会員にもなっています。また、社会学の観点からケアや支援のあり方を研究されている東大文学部の井口高志准教授に顧問についていただいています。

――参加者から「日本の介護労働人口は増えているんですか?」というご質問が届いています。

向笠:介護労働人口は微増しています。年率数%ではありますが、介護に携わる労働人口は増えつづけている。ただ高齢者、要介護者の増えるペースが上回っており、追いついているとはいいがたいですね。

賃金も少し上がってはきていますし、昨年度は新型コロナの影響もあるといわれていますが離職率も低く、定着率も改善しています。ただ、より一層の改善が必要です。

世界中の国が直面している「少子化」は、取り組みがいのある課題

――鳥巣さんはいかがですか? 日本だと少子化が進行していますが、中国はどうでしょうか。そのあたりを事業として取り組む社会課題だと捉えていらっしゃるんでしょうか。

鳥巣:中国も少子化は進んでいるんですよ。特にコロナ以降はいっそう顕著になっています。少子化って世界中で起きている現象なんです。そして、国家単位で見ると少子化はマイナスインパクトが大きいわけですが、女性の社会進出と表裏一体の事象なので、それを押しとどめましょうとはいえません。

また、「子どもを持ちましょう」ということも絶対にいえないですよね。時代が変わって個々人が自分の価値観に基づいて自由な人生を選ぶことができるようになり、結果としての少子化があるのだとしたら、それを「問題」と言い切っていいのかどうか。奥の深い問題ですよね。さまざまな事情で、子どもを望んでも持てない人もいます。

社会が人口減のフェイズに入ったら、成長を前提とした市場の構造自体が変わっていく必要がありますし、まだ正解のわからない問題がそこにあるわけで、取り組みがいのある課題だと思っています。

また、国によって価値観はそれぞれ違いますが、それでも共通する疑いようのない価値の一つとして、家族愛とかペットへの愛とかが挙げられると思うんです。子どもが元気にやっている国はいい国だよね、っていうのは疑いの余地がないじゃないですか。だからそれが中国であっても日本であっても「育児をよくする」ということは自分にとってはとても価値の感じられる仕事です。

例えばすごい細かい数値の管理などをしているときに、ふと「あれ、自分ってなんでこんな作業してるんだっけ?」って感じる瞬間があると思うんですけど、このようなミッションのもとで仕事をしていると、自分の仕事の根本的な意義に疑いを持たなくて済む、というように感じています。

政府による規制の厳しい中国で、ネット事業を展開する難しさは?

――参加者から質問が届いています。「中国ではネット規制やメディア規制が厳しいと聞きますが、事業運営の上で障害になっていますか?」

鳥巣:それはないですね。生活情報に関する規制はほとんど感じていません。報道規制は存在しますが、それは政治や宗教の領域での表現に対してです。我々の扱う生活情報についてはあまり影響は出ていません。コンテンツに社会風刺が入るわけでもありませんし。

国が変わればメディア戦略が変わるのは当局の規制とは関係なく当然のことで、そもそもインフラや人々の使い方などのメディア環境が日本とは違いますから、それに合わせて最適化させているということです。

今後の採用について

――カイゴメディア 、ワンドットの2社の採用状況について教えてください。

向笠:メディアのほうではクリエイティブディレクター、デザイナー、動画・SNSディレクターを募集しています。また、デジタルマーケティングや営業人材も採用中です。人材やウェブで営業をされていた方がいらっしゃれば大歓迎です。学生インターンも募集していますので、気になられた方がいたらぜひご連絡ください。

鳥巣さん:新規事業開発や調査などさまざまな領域で積極採用中です。語学や専門知識はあればありがたいですが、実はわたし自身が、会社で中国語が一番下手なんですよ(笑)。中国語がわからなくても、事業に対する熱意のある方なら、国内業務もたくさんありますのでまずはご遠慮なくコンタクトください。もちろん、中国語が話せる方であれば調査など含めて幅広い業務をお任せすることができます。

最近、わたしの暮らす上海の他に恵比寿にも拠点を置きましたので、日本企業との連携がますます取りやすくなっています。もし我々の会社に興味を持っていただけましたら、東京オフィスでの業務もいろいろとあります。

ーー本日はどうもありがとうございました。

東大IPC、次回のセミナーについて

東京大学協創プラットフォーム開発では次回セミナー「アカデミア発最先端テクノロジー IoE社会の実現に挑む」を10月11日(月)に開催予定ですので、ぜひご参加ください!

イベント等の最新情報はこちらのnoteやツイッターFacebookでご紹介いたしますので、ぜひフォローお願いいたします。

アカデミア発最先端テクノロジー IoE社会の実現に挑む

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