2022/5/17

いいアイデアとは?見つけ方と併せてスタートアップ向けに解説

いいアイデアとは?

いいアイデアとは?

本記事では、いいアイデアを「スタートアップ向けのいいアイデア」と定義します。スタートアップにおけるいいアイデアとは、「課題の質と解決策の質が高いアイデア」のことです。

ここでいう課題の質とは「顧客の持つ痛みの度合い」のことです。一般的に、顧客の痛みが大きいものを解決できる製品ほど、市場で支持されて事業の成功確率が飛躍的に上昇すると考えられています。これに対して、解決策の質とは、企業が提供する製品・技術自体の質のことです。

以上のことを踏まえて、本記事では、スタートアップがいいアイデアを見つけるための方法や、いいアイデアを生むための原則について解説します。

いいアイデアの見つけ方

いいアイデアの見つけ方

いいアイデアを見つけるためには、「​​課題の質を高めたうえで、解決策の質を高める」ことが大切です。これとは逆の順番で、課題よりも先に解決策の質を高めてしまうと、課題の質を向上させるための磨き込みが浅くなって顧客目線での提案が行えなくなり、事業に失敗する可能性が高まります。

一般的に、スタートアップにおける課題の質は、創業者の持つ以下の4つの要素に比例して高まっていくと考えられています。

  • 高い専門性
  • 業界の知識
  • 市場環境の変化に対する理解度
  • 自分ごとの課題

つまり、業界のエキスパート的存在になることが大切で、とりわけ創業者自身がこうした知識・経験・視点を持つことが大切だといえます。これらの要素を向上させれば、「他人(他社)と同じ事業を行わない」ために役立ち、スタートアップの失敗率の低下につながります。

そのほか、「自分ごとの課題を掲げているかどうか」も、課題の質を高めるうえで大切な要素だとされています。以下では、これら4つの要素について、順番に解説していきます。

高い専門性

初期段階のスタートアップでは少数のメンバーで事業を進めるケースが多いため、課題の質を高めるうえで、従業員(エンジニア)だけでなく創業者自身も高い専門性(例:プログラミング)を有しておくことは、必須ではないとしても持っていることで質を高められることには違いないでしょう。

業界の知識

業界(現場)の知識も、スタートアップにおける課題の質を高めるうえで重要なポイントです。これは、業界全体や現場の従業員などが抱える課題の把握が、いいアイデアの発見につながるためです。

また、自社およびその周辺の業界構造を把握しておくことで、自社の製品・技術に魅力を感じる取引先企業・提携先企業・顧客候補の発見にも役立ちます。

市場環境の変化に対する理解度

PEST分析2

「スタートアップにとって最も大切な成功要因は、アイデアの内容ではなくアイデアを実現するタイミングである」と考える意見があります。現代は市場環境が変化するスピードが非常に速いため、スタートアップの成功を目指すうえで、いいアイデアをもとに製品の開発に着手するタイミングの見極めが非常に重要とみなされているのです。

とはいえ、現時点で市場が求めているものを分析しても、製品を開発し市場に提供を始める頃にはタイミングを逃してしまうケースがほとんどです。そのため、適切なタイミングでスタートアップの事業を推進するには、市場の歴史や流れを理解しつつ、5年後〜10年後の市場の状況を想像し、そこに不足しているものを探す能力が大切だと考えられています。

10年後の市場を予測する際の手助けとして有効なフレームワークの1つに、「PEST分析」が挙げられます。PESTとは、以下の4つの領域の頭文字をさします。

  • Politics(政治):市場の枠組み・規則に影響するもの
  • Economy(経済):景気や経済成長など、バリューチェーン(価値連鎖)に影響を与えるもの
  • Society(社会):需要構造に影響を与えるもの
  • Technology(技術):ITや特許など、競争ステージに影響を与えるもの

PEST分析では、それぞれの領域の情報を収集し、将来的にどのように変化していくか仮説を立て、その変化が自身のビジネスアイデアにどのような影響をもたらすのか検討します。このプロセスを経ることで、現在はまだ知られていない市場でのビジネスチャンスや、そこに潜むリスクの発見につなげられます。

自分ごとの課題

自分ごとの課題に取り組む最大のメリットは、顧客に対して深く理解できるようになることです。

スタートアップにとってより大切なのは、いいアイデアの発見ではなく、その磨き込みだといえます。アイデアの磨き込みによって、表面的な現象から本質的な課題が明らかになり、課題の質向上につながるためです。

そこで、創業者が自分ごとの課題に取り組むことで得られる熱量や本気度は、磨き込みのプロセスを行う推進力として役立ちます。

そもそもスタートアップは、限りある資金を意識しながら、課題の発見や磨き込みを進めていかなければなりません。こうした困難な状況において事業を推進していくためには、レジリエン(回復力)を持つことが必要不可欠だといえます。

また、自分ごとの課題に取り組むことで、スタートアップのミッション・ビジョンに創業者の思いを投影させられます。これらは対外的に自社をアピールする際に競合優位性として働き、人材を採用する際や従業員のコミットメントを引き出したいときに活用できます。

ただし、創業者が自分ごとの課題に取り組む際は、課題にもとづく痛みを誇張しやすくなる点に注意しましょう。「この製品は自分が欲しがるのだから、世の中の人も欲しがるに違いない」と独りよがりに結論づけるのではなく、想定する顧客を通じて「その課題が世の中に本当に存在しているのか」を客観的に分析することが大切です。

なお、スタートアップにおけるミッション・ビジョンの必要性や作り方、事例については、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご確認いただくとスタートアップの事業推進に役立てられます。

スタートアップにミッション・ビジョンは必要!作り方、事例

いいアイデアを生む2つの原則

いいアイデアを生む2つの原則

アメリカの実業家であるジェームス・W・ヤング氏は、著書『アイデアのつくり方』において、いいアイデアを生むための原則として以下の2つを挙げています。

  • アイデアは古い要素の新しい組み合わせであり、それ以上でもそれ以下でもない
  • 古い要素から新しい組み合わせを作る能力は、主に関連性を見極める能力によって決まる

特に後者の原則は、いいアイデアを生むうえで非常に大切だといえるものの、これを実践するには脳の訓練が求められます。古い要素から新しい組み合わせを作るためには、時間と労力を費やすことが大切です。つまり、常日頃から周囲の情報を収集し、それを脳が使えるように状態を整えておく必要があります。

具体的には、以下のような施策が効果的であると考えられています。

  • インデックスカードを用いて情報を整理し、理解しやすいよう切り分けておく
  • スクラップブックやファイルを用いてすべての情報を相互に参照できるようにし、必要なときに必要な情報を見つけられるようにしておく

まとめ

スタートアップにおけるいいアイデアとは、課題の質と解決策の質が高いアイデアのことです。いいアイデアを見つけるには、主に以下の4つの要素を意識して​​課題の質を高めたうえで、解決策の質を高めることが大切だといえます。

  • 高い専門性
  • 業界の知識
  • 市場環境の変化に対する理解度
  • 自分ごとの課題

それに加えて、アイデアを生み出していくためには、ジェームス・W・ヤング氏が述べた2つの原則を念頭に置いて実践することが望ましいです。

実際に、既存のアイデアから着想を得て、新たなアイデアを生み出したとされている起業家の1人に、スティーブ・ジョブズ氏がいます。1996年にノキア社が現在のスマートフォンの先駆けとされる「Nokia 9000 Communicator」を発表しましたが、ジョブズ氏はこの製品からインスピレーションを受けて、デザイン性・機能性などの付加価値を加えた「iPhone」を開発・リリースし、世界中で大ヒットさせたといわれています。

ジョブズ氏の事例のように、「既存の要素を新しく組み合わせる」ことを念頭に置きながら、いいアイデアについて試行錯誤を重ねていきましょう。

参考:田所雅之「入門 起業の科学」日経PB社、2019年
ジェームス W.ヤング・竹内 均 (解説)・今井 茂雄 (翻訳)「アイデアのつくり方」CCCメディアハウス、1988年

DEEPTECH DIVE

本記事を執筆している東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)は、東京大学の100%出資の下、投資、起業支援、キャリアパス支援の3つの活動を通じ、東京大学周辺のイノベーションエコシステム拡大を担う会社です。投資事業においては総額500億円規模のファンドを運営し、ディープテック系スタートアップを中心に約40社へ投資を行っています。

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