2022/1/21

ミドルステージとは?スタートアップの成長ステージ、資金調達を解説

ミドルステージとは?

ミドルステージとは?

ミドルステージ(英語:Middle Stage)とは、スタートアップにおける成長ステージの区分のうち、事業が軌道に乗り始めて成長しつつある段階をさします。別名、「エクスパンションステージ(英語:Expansion Stage)」と呼ばれる場合もあります。

ミドルステージのスタートアップでは、前段階であるアーリーステージから引き続き​​赤字を計上しているものの、安定的な収益を生み出しており、事業規模の拡大(スケール)が期待できる状態にあるのが一般的です。なお、一部では、黒字経営が安定化を始めるスタートアップも見られます。

また、企業のさらなる成長に向けた組織づくりを行うために、人事部や広報スタッフなどを増員する場合が多く、従業員規模の目安は20人以上程度にまで拡大します。これに伴い、追加の資金調達が必要です。

スタートアップについては以下記事で解説しています。スタートアップがどういった組織なのか知ることが、ミドルステージを理解することに繋がりますので、ぜひご一読ください。

スタートアップとは?ベンチャーとの違いを解説【図解あり】

ミドルステージの資金調達

ミドルステージ(エクスパンションステージ)のスタートアップでは、主に以下の方法で資金調達を行います。

  • 投資家からの投資
  • 民間の金融機関によるプロパー融資
  • 地方自治体・信用保証協会・金融機関の連携による制度融資
  • 公的支援である補助金・助成金

一般的に、ミドルステージに至ったスタートアップは、金融機関や地方自治体などから優良企業と認められて、シードステージやアーリーステージと比べて融資を受けられる可能性が高まります。そのため、創業者の立場からすると、投資や融資の条件を吟味しつつ、自社にふさわしい資金調達先を選択すると良いでしょう。

投資家の種類

業種や業態によって多少の差異が見られるものの、ミドルステージでは、シリーズC以降の投資ラウンドで資金調達を行うケースが一般的です。シリーズC以降の資金調達先として代表的な投資家は、ベンチャーキャピタル(VC)です。

ベンチャーキャピタルとは、スタートアップに対して、出資の形で投資を行い資金を提供する企業や組織のことです。ベンチャーキャピタルの多くは、投資の実行に伴いスタートアップの発行する株式を取得し、投資先企業の上場時にキャピタルゲインの獲得を図ります。

なお、資金調達したい金額が大きいスタートアップでは、複数のベンチャーキャピタルから出資を募る場合もあります。

資金調達額の相場

ミドルステージにおける資金調達額の相場は、数十億円程度です(シリーズC以降での資金調達額の目安)。

ミドルステージの段階にある一部のスタートアップでは、資金調達を必要としないほど収益が安定するケースも見られます。ただし、こうしたスタートアップにおいても、市場の動向やニーズの変化などの影響を受けて収益が急激に減少するリスクはあるため、資金調達の重要性は高いです。

また、企業規模の拡大や、日本全国および海外を視野に入れた事業展開などを進める場合にも、追加の資金調達が必要です。こうした事情から、アーリーステージと比べると資金調達額の相場が高まります。

資金調達に要する時間

ミドルステージ(シリーズC以降)において投資家から資金調達を行う場合、半年以上の期間を要します。

また、金融機関から融資を受ける際は、ビジネスプランや見積書など各種書類の整合性や計画性を細かくチェックされるため、審査に数カ月程度の期間がかかる場合があります。

加えて、補助金・助成金を申請する際も、複雑な手続きが求められるケースが多く、入金までに多くの時間が必要です。専門家に相談したうえで申請を行う場合はさらに長期化するため、計画的に資金調達を進めると良いでしょう。

資金調達における投資ラウンドについては以下記事で解説しています。成長ステージと投資ラウンドには一定の相関関係がありますので、併せて読むことで各成長ステージについての理解が進みます。

投資ラウンドとは?スタートアップが知っておくべき資金調達と注意点

ミドルステージと前後の成長ステージの関係

ミドルステージと前後の成長ステージの関係

ミドルステージの前段階にはシードステージとアーリーステージ、後の段階にはレイターステージが位置しています。本章では、ミドルステージを除いたスタートアップの成長ステージ3つの特徴と関係性を順番に解説します。

シードステージ

一般的に、起業前のアイデア・コンセプトの構想段階から、課題解決に向けた仮説検証(PSF:Problem Solution Fit)の段階までにあるスタートアップをさします。

この段階では、まだ売上を出しておらず、従業員規模の目安は3〜5人程度と必要最小限です。ただし、市場調査や会社設立の費用、人件費などのコストが発生することから、エンジェルラウンドからプレシリーズAまでの投資ラウンドで、主にエンジェル投資家やベンチャーキャピタルから数千万円〜数億円程度の資金調達を行うケースが多く見られます。

詳細は以下記事をご一読ください。

シードステージとは?スタートアップの成長ステージ、資金調達を解説

アーリーステージ

事業を開始して軌道に乗るまでの段階にあるスタートアップをさすのが一般的です。シードステージの後の段階、ミドルステージの前段階に位置しています。

この段階のスタートアップは、PMF(Product Market Fit:顧客の課題を満足させる製品を提供し、それが適切な市場に受け入れられている状態)の達成を通じた収益化を目指している状態にあり、達成までの間は赤字を計上するケースが多いです。

また、製品を市場に届けるための最低限のエンジニアや、それを販売して顧客対応を行うための営業スタッフなどの増員に伴い、従業員規模の目安は5人〜20人程度にまで拡大します。これに伴い、シリーズAからシリーズBの投資ラウンドにわたり、主にベンチャーキャピタルやコーポレート・ベンチャーキャピタルから数億円〜数十億円程度の資金調達を実施するケースが多いです。

詳細は以下記事をご一読ください。

アーリーステージとは?スタートアップの成長ステージ、資金調達を解説

レイターステージ

一般的に、組織が確立されて、経営が徐々に安定化してきた段階にあるスタートアップをさします。ミドルステージの後の段階に位置し、IPOやM&Aを通じたイグジットを具体的に検討する時期に入ります。

また、この段階では、メイン事業の規模を拡大したうえで、関連事業の開発に着手しているスタートアップも見られます。これに伴い、管理機能の強化やイグジットに向けた上場準備チームの組織などを行うためにスタッフを増員する場合が多く、従業員規模の目安は30人以上、業種によっては100人以上にまで拡大します。そのため、シリーズD以降の投資ラウンドにおいて、主にベンチャーキャピタルから数十億円規模の資金調達を実施するケースが多いです。

詳細は以下記事をご一読ください。

レイターステージとは?スタートアップの成長ステージ、資金調達を解説

DEEPTECH DIVE

本記事を執筆している東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)は、東京大学の100%出資の下、投資、起業支援、キャリアパス支援の3つの活動を通じ、東京大学周辺のイノベーションエコシステム拡大を担う会社です。投資事業においては総額500億円規模のファンドを運営し、ディープテック系スタートアップを中心に約40社へ投資を行っています。

キャリアパス支援では創業期~成熟期まで、大学関連のテクノロジーシーズを持つスタートアップへの転職や副業に関心のある方とのマッチングを支援しており、独自のマッチングプラットフォーム「DEEPTECH DIVEを運営しています。

DEEPTECH DIVEにご登録頂くと、東大IPC支援先スタートアップの求人募集情報を閲覧でき、またスタートアップから魅力的なオファーを受け取ることができます。ご登録は無料で、簡単なプロフィールを入力頂くことでご利用頂けます。

今すぐにキャリアチェンジをお考えでない方でも、東大IPC社員へのカジュアル相談は大歓迎です!もしご興味のある方は是非、マッチングプラットフォーム「DEEPTECH DIVEにご登録ください。

一覧へ戻る
東大IPCの
ニュースを受け取る
スタートアップ界隈の最新情報、技術トレンドなど、ここでしか得られないNewsを定期配信しています