2022/1/19

シードステージとは?スタートアップの成長ステージ、資金調達を解説

シードステージとは?

シードステージとは?

シードステージ(英語:Seed Stage)とは、スタートアップにおける成長ステージの区分のうち、会社設立前後の段階をさします。シードは日本語で「種子」や「芽が出る前の状態」を意味することから転じて、起業前のスタートアップを表します。

また、シードステージは、事業開始直後(アーリーステージ)における最初期を意味する場合もあります。とはいえ、シードステージはアーリーステージの前段階に位置しており、起業前のアイデア・コンセプトの構想段階から、課題解決に向けた仮説検証(PSF:Problem Solution Fit)の段階までに位置しているスタートアップをさすのが一般的です。

シードステージにおけるスタートアップの多くは、プロダクトのリリースに向けた準備段階にあるため、多額の資金は求められません。ただし、市場調査費、プロトタイプ開発費、会社設立費、人件費など最低限のコストは発生します。そのため、事業開始前の段階とはいえ、資金調達を必要とするケースがあります。

なお、多くの場合で売上が発生していないことから、人件費を最小限に抑えるために3〜5人程度の人数(必要に応じて、パートタイムや業務委託も活用)で活動するケースが一般的です。

シードステージの資金調達

アーリーステージのスタートアップでは、主に以下の方法で資金調達を行います。

  • 自己資金
  • 投資家からの投資
  • 日本政策金融公庫(政府系金融機関)による創業融資
  • 地方自治体・信用保証協会・金融機関の連携による制度融資
  • 家族や親族、友人などからの借り入れ
  • クラウドファンディング

ほとんどのケースで自己資金だけでは不十分であるため、外部から資金を調達します。

クラウドファンディングとは、WEB上で自身の活動や夢を発信し、想いに共感した人、活動を応援したいと思ってくれた人、将来性に魅力を感じてくれた人などから資金を募るシステムの利用を通じて資金調達を行う方法です。あらかじめ目標金額を定めておき、達成した場合には自社の商品やサービスを見返りとして参加者に提供するのが一般的です。

なお、最近では株式との交換を条件に出資を募る「投資型クラウドファンディング」も登場しており、シードステージにおける資金調達方法の選択肢が増加しています。

投資家の種類

業種や業態によって多少の差異はありますが、シードステージでは、エンジェルラウンドからプレシリーズAの投資ラウンドにわたって資金調達を行うケースが一般的です。これら3つの投資ラウンドの資金調達先として代表的な投資家は、以下のとおりです。

  • エンジェル投資家
  • ベンチャーキャピタル(VC)

エンジェル投資家とは、スタートアップに対し、出資の形で投資を行う個人投資家をさします。その一方、組織として、スタートアップに対して出資の形で投資を行うのがVCです。

シードステージのスタートアップでは、主にインキュベーターやシードアクセラレーターと呼ばれるVCから資金調達を行えます。インキュベーターとは、設立直後のスタートアップに対して「インキュベーション(起業や事業の創出を支援するサービス・活動)」を行う組織です。また、アクセラレーターとは、3カ月〜6カ月程度の期限付きプログラムを提供し、スタートアップの成長を急速に促進する組織をさします。

資金調達額の相場

シードステージでの資金調達額の相場は、数百万円〜数億円程度が目安です(エンジェルラウンドの段階で数百万円~数千万円程度、シードラウンドの段階で数千万円〜数億円程度、プレシリーズAラウンドの段階で数億円程度)。

シードステージはスタートアップにおける成長ステージの初期にあたり、多額の資金は求められない傾向があるため、資金調達額の目安も比較的少ないです。

そのため、エンジェル投資家に接触を図り資金調達を行う方法を取るケースが多く見られますが、出資を受ける際に株式を渡しすぎてしまうと、経営方針に口出しをされるリスクが高まります。また、将来的に資金調達を行う際、他の投資家(例:VC)から投資を受けにくくなるおそれもあるため注意すると良いでしょう。

資金調達に要する時間

多くの場合、シードステージにおいて投資家から資金調達を行う際は、1日〜半年程度の期間がかかります(各投資ラウンドにおける期間の目安は、エンジェルラウンドで1日〜1カ月程度、シードラウンドで数日〜3カ月程度、プレシリーズAラウンドで2カ月〜半年程度)。

資金調達における投資ラウンドについては以下記事で解説しています。成長ステージと投資ラウンドには一定の相関関係がありますので、併せて読むことで各成長ステージについての理解が進みます。

投資ラウンドとは?スタートアップが知っておくべき資金調達と注意点

シードステージでは創業メンバー集めも重要

スタートアップでは事業アイデアを発案した人が創業者となるのが一般的ですが、事業化して企業を成長させていくためには創業メンバーの存在が必要不可欠です。

創業メンバーは、企業の成長とともに、スタートアップの意思決定に大きな影響を与えます。そのため、信頼できるメンバーを集めることが望ましいです。

また、創業メンバーを集める際は、限られた資源・資金の中で、必要最低限のチームづくりを行う必要性から、事業アイデアを具現化するために最低限必要となる専門性や役割の人材を確保すると良いでしょう。

スタートアップについては以下記事で解説しています。スタートアップがどういった組織なのか理解することで、創業メンバー集めの重要性をより感じることができます。ぜひご一読ください。

スタートアップとは?ベンチャーとの違いを解説【図解あり】

シードステージと前後の成長ステージの関係

シードステージと前後の成長ステージの関係

スタートアップの成長ステージには、シードステージの後に、アーリーステージ、ミドルステージ、レイターステージの3段階が存在します。本章では、シードステージを除いた3種類の成長ステージの特徴と関係性を順番に解説します。

アーリーステージ

アーリーステージとは、事業を開始して軌道に乗るまでの段階にあるスタートアップをさすのが一般的です。シードステージの後の段階に位置しています。

アーリーステージのスタートアップは、PMF(Product Market Fit:顧客の課題を満足させる製品を提供し、それが適切な市場に受け入れられている状態)の達成を通じた収益化を目指している状態にあり、達成までの間は赤字を計上するケースが多く見られます。

また、製品を市場に届けるための最低限のエンジニアおよび、それを販売して顧客対応を行うための営業スタッフなどの増員に伴い、従業員規模の目安は5人〜20人程度まで拡大します。こうしたチームメンバーの増員に伴い、シリーズAやシリーズBの投資ラウンドにおいて、主にVCやCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)から数億円〜数十億円程度の資金調達を実施するケースが多いです。

詳細は以下記事をご一読ください。

アーリーステージとは?スタートアップの成長ステージ、資金調達を解説

ミドルステージ

一般的に、ミドルステージとは、赤字を計上しているものの、安定的な収益を生んでおり、事業規模の拡大(スケール)が期待できる状態のスタートアップをさします。

ミドルステージでは、スタートアップをさらに成長させるためのチームづくりに向けて、人事部や広報スタッフなどを増員する場合があることから、従業員規模の目安は20人以上程度まで拡大します。こうした組織の拡大に伴い、シリーズC以降の投資ラウンドにおいて、主にVCから数十億円規模の資金調達を実施するケースが多いです。

詳細は以下記事をご一読ください。

ミドルステージとは?スタートアップの成長ステージ、資金調達を解説

レイターステージ

レイターステージとは、組織が確立されて、経営が徐々に安定化してきた段階にあるスタートアップをさすのが一般的です。この段階では、IPOやM&Aを通じたイグジットを具体的に検討する時期に入ります。

また、レイターステージでは、メイン事業の規模を拡大したうえで、関連事業の開発に着手しているスタートアップも見られます。これに伴い、管理機能の強化やイグジットに向けた上場準備チームの組織などを行うためにスタッフを増員する場合が多いです。

従業員数の目安は30人以上、業種によっては100人以上まで拡大します。そのため、シリーズD以降の投資ラウンドにおいて、主にVCから数十億円規模の資金調達を実施するケースが多くみられます。

詳細は以下記事をご一読ください。

レイターステージとは?スタートアップの成長ステージ、資金調達を解説

DEEPTECH DIVE

本記事を執筆している東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)は、東京大学の100%出資の下、投資、起業支援、キャリアパス支援の3つの活動を通じ、東京大学周辺のイノベーションエコシステム拡大を担う会社です。投資事業においては総額500億円規模のファンドを運営し、ディープテック系スタートアップを中心に約40社へ投資を行っています。

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