2023/4/20

東大IPC DEEP TECH DIVE Live! #15 「今注目のアカデミア発ディープテック系スタートアップでインターン!」ハイライトレポート

東大IPC DEEP TECH DIVE Live! #15 集合写真

東大IPCのオンラインキャリアイベント「DEEP TECH DIVE LIVE!」第15回を2023年3月28日(火)に開催しました。このイベントは、キャリアコミュニティサービスDEEP TECH DIVEについて知っていただくために、東大IPCの支援するスタートアップ企業にご登壇いただき、業界の動向、起業エピソード、直近の募集職種などについてカジュアルにお話しいただくというものです。

今回は「今注目のアカデミア発ディープテック系スタートアップでインターン!」をテーマに、今春からインターンの募集を始める今注目のアカデミア発ディープテック系スタートアップ3社のメンバーであるDataLabs株式会社の江藤博哉さん(事業開発本部マネージャー)、株式会社Logomixの簗島謙太郎さん(研究開発部Director)、株式会社Yoiiの杉本愛さん(HRBP)の3名にお越しいただき、これまでにない社会価値を創造し、イノベーションを生み出していく面白さ・業界の展望・インターンで経験できることなどについて、カジュアルにお話しいただきました。こちらの記事では、特に盛り上がった内容についてハイライトでお伝えします。

▼登壇者プロフィール(順不同)

DataLabs株式会社 事業開発本部 マネージャー 江藤 博哉氏

東京大学教養学部卒。東海旅客鉄道株式会社にて、主に人事・財務・経営管理などの業務に携わり、要員計画の策定・管理、デットファイナンスによる資金調達や資金運用、予算の策定・管理等を担当。2022年9月にDataLabs株式会社に入社。事業開発を所管し、省庁・大企業とのPoCのプロジェクトマネジメント、建設業に関連する制度適用や改正に関わる折衝、海外展開・代理店販売の戦略策定等を担当している。

株式会社Logomix 研究開発部 Director 簗島 謙太郎氏

2007年に東京大学大学院薬学系研究科修士修了。協和発酵バイオ株式会社にて微生物を用いた医薬品や食品素材の研究開発に取り組んだのち、新規食品素材であるヒトミルクオリゴ糖の事業開発・製品開発を製造開始までリード。海外パートナーとの折衝、海外規制対応、品質保証を含むプロジェクトマネジメントを担当。2017年にINSEAD MBA。2023年1月より現職ではプロジェクトマネジメントや事業開発に取り組む。

株式会社Yoii HRBP 杉本 愛氏

ITスタートアップ専門のHRコンサルに新卒入社し、日本での人材紹介事業の立ち上げに参画。その後、東京都保健福祉局での児童相談業務を経て、医療×IT事業のCAPS株式会社、保険×IT事業のjustInCase Technologies社の2社でエンジニア採用・採用広報・社内制度構築などの人事業務全般を経験。現在は未来査定型資金調達プラットフォーム「Yoii Fuel」を提供する株式会社YoiiのHRBP。

DataLabs株式会社のピッチ

DataLabs株式会社のピッチ

江藤:皆さんこんばんは、DataLabs(データラボ)株式会社の江藤と申します。

DataLabsは、「デジタルであらゆる建設業務を効率化する」をミッションに掲げる会社です。具体的には、点群データや3次元モデルといった3次元データを活用して、建設業務の生産性を向上させることにチャレンジしています。

弊社の経営メンバーは、これまで様々な形で3次元データに関わってきました。例えば代表の田尻は、JAXAでリモートセンシング事業に携わり、その後ドローンベンチャーや衛星ベンチャーにおいても、測量データを活用した事業開発を担ってきました。

ターゲットとする市場

江藤:建設業界では、時間外労働の上限規制への対応や高齢化・人手不足への対応の他、高度経済成長期に集中的に整備されてきた老朽インフラの修繕や激甚化する災害への対応ニーズが高まっており、「待ったなし」の苦しい状況に立たされています。

国土交通省は、全ての建設生産プロセスでICT等を活用するi-Constructionの推進をはじめ、建設現場の生産性を向上させる施策を実施しており、調査・測量・設計・施工・維持管理の建設サイクルに関わる関係者の方々も、同様の課題認識のもと、生産性向上の取組みを行っています。

一方、建設業界は重層下請構造で仕事が進められるため、「誰が何をどのように進めていくのか」という手順をしっかり紐解いて取組みを進めていかないと、業界全体の生産性向上が上がりにくいという特徴があるように思います。

私たちは3次元データに強みを持つスタートアップという立場から、産業構造上の課題を解決し、社会に貢献することを目指しています。日本の社会課題の解決に関心がある方にとっては、挑戦し甲斐のある課題の解決に取り組んでいるスタートアップだと思います。

【プロダクト例】配筋検査省力化ツール「Modely」

【プロダクト例】配筋検査省力化ツール「Modely」

江藤:ここからは、「どのような作業を効率化するのか?」について、1つのプロダクトを例に説明させていただきます。例えば高架道路の建設現場では、鉄筋を組んでコンクリートを打つ、さらにその上に鉄筋を組んでコンクリートを打つ、といった工程を繰り返すことで、一つの支柱が出来上がり、その支柱が何本も連なり支えとなることで、高架道路を造ることができます。

その「鉄筋を組む」という工程の度に、設計通りに鉄筋を組むことができているかを確認する検査(配筋検査)を行うのですが、鉄筋を組むたびに検査をするので、1本の支柱を造る過程で、何度も配筋検査を行うことになります。そしてその支柱を何本も造らなくてはなりません。

この作業は複数人・手作業で行う必要がありますし、1回の配筋検査の工程の中で、自主検査と発注者の立会いのもとで実施する検査の2種類があるため、関係者の方々の工数が多くとられる検査となっています。

【Modely】の価値

【Modely】の価値

江藤:私たちのプロダクト「Modely」は、3次元データを活用し、これらの作業を大幅に省力化するツールです。iPad Pro等の汎用機材で取得した「点群データ」をモデル化し、現況を確認できる環境を構築することで、これまで複数の関係者が現場に何度も集まり確認していた作業を、大幅に省力化することができます。また生成した3次元モデルは、建設サイクルの他の工程に活用することができ、検査の省力化に留まらない価値を提供できるプロダクトになっています。

この検査には様々な立場の関係者が携わっているため、各関係者の方々へのヒアリングを何度も行い、開発を行ってきました。製品リリース(※2023年4月10日)後も開発を進め、より関係者の方々の役に立つプロダクトに進化させていきたいと考えています。

DataLabsのインターン募集

DataLabsのインターン募集

江藤:最後に、インターン募集について説明します。大学生や大学院生を応募資格に挙げていますが、やる気があればどなたでも大歓迎です!

事業開発担当として、様々なプロジェクトのマネジメントをサポートしていただこうと考えていますが、外部の環境調査や、営業戦略の策定等、ご関心があれば何でも積極的にトライしていただけると嬉しいです!

株式会社Logomixのピッチ

株式会社Logomixのピッチ

簗島:続きまして、株式会社Logomixの簗島と申します。私たちは、ゲノムの大規模な改変の技術を持っている東京工業大学発のベンチャーです。東工大発ですが、東大IPCさんからもご支援いただいており、今回もお声がけいただきました。

社長の石倉はバイオのバックグラウンドがあるシリアルアントレプレナーです。共同創業者の相澤は東工大の准教授と二足のわらじを履いています。そのほか、社外取締役で東大・ゴールドマンサックス出身のメンバーもいます。

ゲノムテクノロジー革命が進行中

ゲノムテクノロジー革命が進行中

簗島:近年、生物の設計図である「ゲノム」については「解読」「編集」を超えて、一からの「構築」がトライされています。そこで、私たちは微生物を使ってモノを作ったり、ヒト細胞を大きく改変して治療に役立てたりといったことを目指しています。

そもそもゲノムとは?

そもそもゲノムとは?

簗島:ゲノムは半導体産業と引き合いに出されることが多いです。簡単にいうと、半導体の場合、小さいチップの上に電子部品が集まって集積回路として機械に活用されます。

こうした仕組みとゲノムは似た部分があり、ゲノムに載っている遺伝子は電子部品のような働きをし、遺伝子が集積したものがゲノムだといえます。そのゲノムを改変したモノを使うことで、細胞や菌などをまるで工場のように産業価値のあるモノに変えられます。私たちはこうした技術を磨き、さまざまな産業界の企業さんとパートナーシップを組んでいます。

バイオエコノミー市場の成長率

バイオエコノミー市場の成長率

簗島:近年、バイオエコノミー分野は目覚ましい発展を遂げており、医療や食品だけでなく畜産なども含めてさまざまな領域で技術の応用が進んでいます。

投資の観点でも非常に伸びている領域であり、新型コロナウイルス感染拡大の時期においてもバイオテクノロジーの活用に大きな注目が集まりました。

Logomixのポジショニングフォーカス

Logomixのポジショニングフォーカス

簗島:Logomixではゲノムエンジニアリングの分野に特に力を入れています。産業界で広く使われるような菌株や細胞などをデザインし、パートナー企業に届けています。

事業ドメインとしては、合成生物事業や創薬事業に分類されます。合成生物事業では、化学会社や食品会社、医薬品会社などに対してコンサルテーションを行うパターンや、実験を一緒に行って知的財産権の取得を目指すパターンがあります。

創薬事業では、ヒト細胞を大きく改変することで、疾患モデルになる細胞を作って創薬に役立てたり、細胞そのものを人に投与できるようにして治療に役立てたりできる技術を開発しています。

Logomixのインターン募集

Logomixのインターン募集

簗島:Logomixでは、事業開発やプロジェクト運営などの業務を担当するインターンを募集しています。応募資格としては「大学4年生以上」と書いておりますが、やる気がある方であれば、これにとらわれず積極的に応募いただければ幸いです。理系の方でなくても大歓迎です。

株式会社Yoiiのピッチ

株式会社Yoiiのピッチ

杉本:株式会社Yoiiの杉本と申します。本日はよろしくお願いいたします。私たちは、「資産の流動性を上げ、挑戦する起業家・企業の成長を後押しする。」というミッションを掲げています。

世界中でスタートアップ企業が注目されていますが、日本でも国をあげてユニコーン企業を増やすために多くのお金を投資しようとする動きが出てきています。

上図にもあるように、スタートアップの資金調達額は年々増えています。しかし、資金調達できたスタートアップの数は近年かなり落ち込んでいる状況です。

上のグラフから、一社あたりの調達額が増えているものの、充分に調達できない企業が増えている現状が見て取れます。私たちは、資金が必要なスタートアップに適切なお金が行き渡るためのスキームを作っていきたいと考えています。

提供するプロダクト

提供するプロダクト

杉本:私たちは、将来の売上を現在のキャッシュに変える未来査定型の資金調達プラットフォーム「Yoii fuel」を提供しています。簡単にいうと、企業の過去の売上や外部のデータから将来の売上を査定し、資金調達を行えるようにする手段です。「将来の売上を予想し、その一部を当社が買い取る」ようなサービスと考えるとイメージしやすいと思います。

従来型のベンチャーキャピタルからのエクイティファイナンスや銀行からのデットファイナンス以外の新たな資金調達方法としてスタートアップ企業をはじめとする中小企業に活用いただけます。

提供実績

2022年4月にローンチして約1年ほどのプラットフォームですが、ソフトウェア企業やSaaS企業、Eコマース企業、BtoCのプラットフォーム企業などを中心に、すでに数十社の新興企業に活用いただいております。

Yoiiのチームとカルチャー

Yoiiのチームとカルチャー

杉本:私たちは2023年3月現在、創業2年目で、社員数が15名のほか、インターン5名と業務委託が7名のチームです。特にプロダクト開発チームの人数が多く、プロダクトマネージャーやエンジニアなどが在籍しています。

銀行などの金融系・Web企業・コンサルなど異業種のメンバーが数多く集まっています。また、約75%のメンバーが国外出身であり、社内公用語として英語を使用している点も特徴的です。

現在、インターン生を5名受け入れており、データ処理や採用、フロントエンド開発などに携わってもらっています。大学のゼミの合間にオンラインで活動してもらったり、授業がない日は出社してもらったりなど、フレキシブルに稼働していただいています。

Yoiiのインターン募集

Yoiiのインターン募集

杉本:現在、マーケティングインターンとデータサイエンスインターンをそれぞれ1名ずつ募集しています。

マーケティングの方は、まず当社の市場に関するリサーチ・分析・レポーティングなどを担当いただきます。最も力を入れていただきたいのは、当社のオウンドコンテンツの発信です。情報収集量がかなり多いので、金融・フィンテック・経済分野に興味関心があったり、文章を書いたりリサーチしたりすることが好きな方が向いていると考えています。

データサイエンスの方は、Pythonのコーディングを深く経験したい方や機械学習の実務経験を積みたい方などが望ましいと思います。

英語については話せればベターですが、インターン参画時にまったく英語を話せなかったというメンバーもいますので、将来の就活のために英語を身につけたいという方も歓迎です。

インドや韓国、ジャマイカ、ロシア、ポーランド、フランス、ベルギーなどさまざまな国籍のメンバーが在籍しているので、多国籍で刺激的な環境でインターンを経験したいという方にもおすすめです。

スタートアップ各社の働き方

ーーフルリモートのインターン参加は可能でしょうか?

江藤:DataLabsではフルリモートでの参加が可能です。オフィスは東京にありますが、大阪在住のエンジニアもいます。

簗島:Logomixでは、はじめのうちは研究員の方とのコミュニケーションが大切になってきますので、初めからフルリモートは難しいかもしれませんが、徐々にフルリモートに近い形でインターンに参加いただいて大丈夫です。

杉本:Yoiiではポジションと稼働状況次第でフルリモートが可能です。現在、稼働いただいているメンバー5名は基本的に週に1回程度は出社しているので、リモートワーク自体は可能となっています。ただ、コミュニケーションの密度が濃いとより得られる経験も広がりますので、できれば渋谷のオフィスに来られる方だとうれしいです。

スタートアップのインターンにある魅力

ーー経験やスキルなど、インターンに参加する魅力はどのようなものでしょうか?

簗島:Logomixでは、3つの魅力があると思います。1つ目は、創業者の1人が大学の教員をしていますので、アカデミックな雰囲気があり、取っ付きやすく学びやすい環境に身を置けることです。2つ目は、さまざまな会社の人と交流できることです。3つ目は、企業規模が小さいため、幅広いことを経験できることです。

杉本:Yoiiでのインターンには2つの魅力があると思います。1つ目は、ビジネス英語力が身につくことです。2つ目は、新興企業の顧客が多く、資金調達に関する事業なので、経済について深く勉強できることです。財務諸表のリサーチや企業分析について学べるため、就職活動にも役立つと思います。

江藤:DataLabsでは、建設業界の様々なステークホルダーと仕事ができることが魅力だと思います。省庁・大企業・スタートアップとそれぞれ立場は異なりますが、それぞれのビジネスの進め方に触れることができるので、就職活動の参考にもなると思います。

スタートアップ各社の雰囲気

ーー会社やチームメンバーの雰囲気について、どのようなものかお教えいただけますか?

杉本:Yoiiでは、皆さん比較的落ち着いた雰囲気を持っていると思います。一緒にランチを楽しんだり、仕事の後にボードゲームで遊んだりすることはありますが、仕事とプライベートをきっちり区別する方が多い印象ですね。なお、インターン生を除いたメンバーの平均年齢は35歳程度です。

江藤:DataLabsも落ち着いたメンバーが多いです。共用スペースでは、好きなものを飲みながら仕事ができるので、交流をとるときはとり、仕事をするときはしっかり仕事をするといったメリハリがあります。メンバーの年齢は20代~40代で、30代が一番多いように思います。

簗島:Logomixのオフィスは東工大すずかけ台キャンパスにあるので、非常にアカデミックで落ち着いた雰囲気ですね。とはいえ、大学の研究室の延長のような雰囲気で、和気あいあいと楽しんで働いています。Logomixもメンバーの年齢は30前半・後半に固まっています。

ーー代表者(CEO)の性格・キャラクターについてお教えいただけますか?

江藤:DataLabsのCEOは、少年の心を持ち続けている優しい人間だという印象です。柔らかい雰囲気を醸しつつも、心は常に燃えていますね。

簗島:LogomixのCEOは私と同い年で話しやすいのですが、シリアルアントレプレナーとしてプロ意識の強い方で尊敬していますね。

杉本:YoiiのCEOは、はっきりとコミュニケーションを取ってくれる人で、話しやすいです。仕事が進みやすいですし、インターン生と積極的に交流している様子をよく見かけます。

東大IPC、次回セミナーについて

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