2026/1/21

東京大学 相田卓三 卓越教授が日本の技術シーズに対して初となるGrantham Foundationのグラント(助成金)に採択  ―東大IPCがグローバルスタートアップ創出に向けて伴走―

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東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:植田浩輔、以下「東大IPC」)は、東京大学国際高等研究所東京カレッジ 相田卓三 卓越教授(以下、相田教授)が、環境分野の革新的研究を支援するGrantham Foundation for the Protection of the Environment(米国・ボストン、以下「Grantham Foundation」)のグラント(助成金)に採択され、約60万ドルの研究開発資金の提供を受けたことをお知らせいたします。

 

 

 

 

 

本件は、研究者とともに技術シーズの世界規模での最大価値化の実現を目指す東大IPCのスタートアップ創造チームが技術シーズの商用化に向けて、本グラントの獲得におけるデューデリジェンスプロセス及び契約締結までの支援を行いました。またグローバル企業との連携における交渉調整などの集中ハンズオン支援を進めております。本グラントを契機として社会実装に向けた活動をさらに加速します。

 

 

プラスチックがもたらす環境負荷の根本解決へ

 

世界では年間約4.3億トンという膨大な量のプラスチックが生産されていますが、その9割以上が再資源化されず、埋立てや焼却に回るか、自然環境中へ流出しています。従来の石油由来プラスチックは自然界で分解されずに残留し、マイクロプラスチック問題を引き起こす大きな要因となっています。

 

こうした廃プラスチック問題を背景に、消費者や投資家からの環境配慮への要求が高まり、各国で環境規制も強化されています。そのため、グローバル企業にとって持続可能な代替素材への転換は、喫緊の課題となっています。

 

この課題の解決に向けて、相田教授らのグループは、「実用的な物性」「生分解性」「完全リサイクル性」を兼ね備えた革新的新素材「超分子プラスチック」を開発しました。超分子プラスチックは、従来の石油由来プラスチックに匹敵する高い力学強度と実用水準の耐熱性を有しながら、塩を添加すると、速やかに原料モノマーに完全解離します。原料モノマーは生分解するため、自然環境中に流出してもマイクロプラスチックは一切発生しません。本研究は、2024年11月に学術誌「Science」に掲載され、高い注目を集めています(※)。

 

東大IPCは、超分子プラスチックの商用化に向けて、「スタートアップ創造プログラム」による相田教授に対する集中ハンズオン支援を、2025年2月より開始しました。国内外で起業・経営経験を持つ担当者が、事業構想の検討、グラントの獲得支援、顧客候補の開拓など、実務を中心とした徹底支援を提供しています。

 

※ プレスリリース「海水中で原料まで分解できる超分子プラスチック -代謝もされ、持続可能な未来に向けた画期的な材料開発-」

https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400252514.pdf

 

 

日本の技術シーズに対する初のグラント、世界規模での環境課題解決に向けたアプローチを推進

 

Grantham Foundationは、気候変動の緩和や環境保全に資する科学研究、技術開発、社会実装を支援し、総資産6億ドル(約900億円)を有する米国の民間財団です。

大学・研究機関へのグラントの提供に加え、Grantham Foundationは、“見過ごされがちな気候機会”に挑むスタートアップへの投資にも取り組み、民間投資家や起業家とのネットワークと連携しながら、研究から社会実装までを見据えた支援を行っています。

 

これまで、脱炭素技術、新素材、エネルギー、自然生態系保全など幅広い領域で先進的なプロジェクトを支援しており、気候インパクトの大きい技術の“立ち上がり”をグラントと投資の両輪で後押しすることで、世界規模での環境課題解決に向けた多様なアプローチを推進しています。

 

この度、相田教授の研究成果である超分子プラスチックについて、その技術的な新規性・独自性、環境課題解決に対して期待されるインパクトなどを評価いただき、日本の技術シーズとして初めてGrantham Foundationよりグラントに採択されることとなりました。

 

 

東京大学国際高等研究所東京カレッジ 相田卓三 卓越教授 コメント

 

このたび、Grantham Foundationから超分子プラスチックの研究に対してグラントをご提供いただけることになり、大変光栄に思います。マイクロプラスチックをはじめとするプラスチック由来の環境問題は、私自身が長年強い危機感を抱いてきたテーマであり、本研究を通じてその根本的な解決に貢献したいと考えてきました。今回の採択にあたっては、財団からの技術面・事業面の多岐にわたる問いに対し、東大IPCのスタートアップ創造チームがデューデリジェンス対応や提案書作成、契約調整まで丁寧に支えていただき、この場を借りて感謝申し上げます。

超分子プラスチックは、技術として大きな可能性を秘めている一方で、社会に届けるためには、量産化のハードルや事業としての成立性など、多くの課題を乗り越える必要があります。私たち研究者だけでは対応しきれないこうした領域を、東大IPCのスタートアップ創造プログラムのチームが実務面から戦略面まで一貫して担ってくれていることは、技術が世界を変えるインパクトにつながるための極めて重要な要素だと実感しています。

本グラントを活用し、性能の高度化や量産技術の確立に注力しながら、社会実装に向けた基盤づくりを着実に進めていきます。引き続き、この技術が世界のプラスチック問題解決に寄与できるよう全力で取り組んでまいります。

 

 

東大IPC スタートアップ創造プログラム統括 インキュベーションパートナー 高岡淳二 コメント

 

超分子プラスチックは、実用的な物性を有しながら、著しく高い生分解性と優れたリサイクル性を併せ持つ、唯一のプラスチック素材です。商用化が実現すれば、従来の石油由来プラスチックに代わる新たな素材として、産業面・環境面の双方において、極めて大きなインパクトをもたらすことが期待されます。本グラントを活用し、超分子プラスチックの商用化に向けた物性の最適化、サンプル製作、経済性試算などを進めるとともに、国内外の顧客候補の開拓およびに超分子プラスチックの商用化を推進していきます。

 

 

技術シーズの社会価値最大化を目指すスタートアップ創造プログラム

 

多くの研究者が優れた技術シーズを有しているものの、商用化の検討や実行に必要な専門性やリソースが不足しているのが現状です。その結果、起業や商用化に至らないケースをはじめ、商用化に至ったとしても、技術のポテンシャル・企業価値を最大化する座組(チーム、ストラテジー、資金、パートナーシップ等)が乏しい、グローバルな成長機会を逃してしまう等大きな機会損失が生じています。

これらの課題を解決するために、東大IPCの「スタートアップ創造プログラム」では、壁打ちを中心とした従来型の起業支援を超えて、技術シーズの商用化検討の初期段階から、事業構想の検討、資金計画の作成、グラントの獲得支援、知財強化、顧客・パートナー開拓など、商用化に必要となる実務を一貫して提供しています。

また、今年度からは、文部科学省の「次世代型オープンイノベーションのモデル形成事業」の支援を受けて、商用化の実務に加えて、最大1,000万円の商用化資金を提供する技術シーズの商用化プログラム「Launch1000」を立ち上げました。

東大IPCが持つ各種リソースやナレッジを積極的に投入し、創業に至るまでの様々な課題解決を支援するとともに、投資活動や1stRound等で培った全国主要アカデミアとの強固なネットワークと連携していくことで、日本のディープテックスタートアップエコシステムの構築・拡大へと目指してまいります。

 

スタートアップ創造プログラム https://startup-building-program.utokyo-ipc.co.jp/

技術シーズの商用化プログラム「Launch1000」https://www.utokyo-ipc.co.jp/incubation/Launch1000/

 

 

東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)について

 

東大IPCは、大学、企業、ベンチャーキャピタル、政府・自治体など幅広いステークホルダーと連携した、世界と肩を並べるスタートアップ創出やエコシステム構築を通じて、世界における日本の産業競争力の強化に資するべく活動を展開しています。

東京大学周辺で培われてきたスタートアップ・エコシステムをさらに発展させるべく、東京大学100%出資の子会社として2016年に設立。官民ファンドとして2つのファンドを通じた国内外80社を超える大学関連のスタートアップおよび民間VCファンドへの投資と並行し、研究者技術シーズの商用化や客員起業家(EIR)起業を支援する「スタートアップ創造プログラム」、国内最大規模を誇るアカデミア機関共催の創業成長支援プログラム「1stRound」の運営、「DeepTech Dive」などの人材支援をはじめとするハンズオン支援を手がけています。ディープテックスタートアップの支援・育成に必要なあらゆるリソースが集積するプラットフォームを構築し、創業から育成、VCファンド運営による成長資金の供給と、継続的な活動支援を展開しています。

2024年には、東京都の公募・選定を経て大学発スタートアップ等促進ファンド投資事業有限責任組合(「ASA」ファンド)を設立。国内・海外との連携の下、新たなディープテック・スタートアップ創出の拠点形成を目指しています。

 

概要  アカデミア関連スタートアップ・エコシステムの発展を目指す投資事業会社
設立  2016年 1月
株主  国立大学法人東京大学(100%)
所在地 東京都文京区本郷 7-3-1 東京大学南研究棟アントレプレナーラボ 261
代表者 代表取締役社長 植田浩輔
URL   https://www.utokyo-ipc.co.jp/

 

本件に関するお問い合わせ
TEL: 03-3830-0200 / FAX: 03-3830-0183
Email: info2@utokyo-ipc.co.jp
担当:高岡

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