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CMO(最高マーケティング責任者)とは?役割と求められる資質

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CMOとは?

CMOとは?

CMOとは、Chief Marketing Officerの頭文字を取った略称であり、日本語に訳すと「最高マーケティング責任者」を意味する言葉です。

CMOはマーケティングに関する業務を統括する役職であり、市場・顧客の調査のほか、マーケティング戦略の策定・実行などを担います。そのため、取締役や執行役員などに就任し、企業経営とマーケティング戦略を併せて統括することもあります。

近年はインターネットの普及を受けて、顧客の購買行動・生活様式・価値観などが多様化しています。これに伴い、企業が顧客に対して、単に製品を提供するだけでなく、最初のタッチポイント(顧客接点)からアフターフォローまでが一体となったより良い「購買体験」を提供しようとする動きが目立っています。

こうした市場で競合他社に勝つためには、企業のあらゆる部署が市場を意識しつつ、全社一体となってマーケティング戦略を検討・実行することが重要です。

そこで、部署の垣根を超えた横断的なマーケティングに対して責任を持つCMOのポストが設置されるようになりました。これにより、部署単位ではない顧客目線での戦略立案を実現でき、顧客に対してより豊かな購買体験を提供できるようになります。

なお、CMOと同様にCxO(企業活動における業務・機能の責任者の総称、最高〇〇責任者)に位置付けられている役職の例としては、CEO・COO・CFOなどが挙げられます。これら3つの役職の概要は、以下のとおりです。

  • CEO(Chief Executive Officer):最高経営責任者
  • COO(Chief Operating Officer):最高執行責任者
  • CFO(Chief Financial Officer):最高財務責任者

CxOについて詳しく知りたい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。併せてお読みいただくことで、CxOにおけるCMOの位置付けも理解できますので、ぜひご確認ください。

CxOとは?CEOやCTO、CFOなど役職一覧と役割を紹介

CMOの役割

本章では、CMOが担う役割として代表的なものを4つピックアップし解説します。

①マーケティング戦略の立案

CMOは、単純に企業のマーケティングに対して責任を持つだけでなく、経営陣の一員としての役割も担います。

具体的にいうと、経営戦略をマーケティングに落とし込んだうえで、人・モノ・資金・情報・知識・ブランドなどの経営資源を適切に用いて企業のマーケティング活動を最適化することが求められます。

現場のマネージャーやメンバーが同じ方向を向いて業務を進めていくためにも、CMOは経営戦略を理解し、それを現場のマーケティング戦略に反映し続ける役割を担うことが大切です。

②全社一貫したマーケティング活動を牽引

企業のブランド力を向上させて顧客に提供する価値を最大化するには、マーケティング部門のみならず、社内の部署を横断して一貫性のあるマーケティング戦略を実行しなければなりません。

そこで、CMOは、連携したマーケティング戦略を主導する役割を担います。具体例を挙げると、「顧客対応部門・カスタマーセンターなどが顧客のニーズ(意見、苦情など)を拾い上げ、それを製品開発部門が生かしつつ製品開発を行い、マーケティング部門が宣伝活動を展開する」といった戦略を主導します。

③自社のマーケティングの強みを作る

昨今のインターネットの普及によるデジタルマーケティングの発達・マーケティングに活用できるデータの増加・AI技術の進歩などに伴い、マーケティング業界では日々新たなツール・手法が誕生しています。

現在、マーケティングの解決策は、企業規模に応じて多種多様に存在します。そのうえ、マーケティングの分野は技術の進歩が早く、新たな解決策が続々と生まれています。こうした動向をいち早く正確にチェックしつつ積極的に自社に導入し、マーケティング面の強みを作っていくことも、CMOの重要な役割であると考えられているのです。

特にデジタルマーケティングの分野では、用いるツール・チャネル面での差別化が難しいです。そのため、日々誕生する解決策を他社に先駆けてチェックし、実際に成果が見込まれるもの・自社に相応しいものを選び導入することで、差別化を図っていくことが重要です。

また、自社のマーケティングの強みを作るうえで、各チャネルや顧客の背景や心情などに合致した広告コンテンツを生み出すことも大切です。以上のことから、CMOは、単なる技術開発だけでなく、人材開発・育成などの役割も担うことがあります。

④ブランドマネジメント

近年、ソーシャルメディアやスマートフォンなどの普及により、消費者同士が互いにつながり、企業が提供する製品について積極的に情報発信・交換するようになっています。また、世の中にはモノが溢れ、市場が成熟したために、機能や価格での差別化が難しくなりました。

こうした状況下で、顧客に購買行動を起こさせるためには、企業全体で顧客に共感されるブランドづくりを推進していくことが重要であると考えられています。そこで、マーケティングを統括するCMOには、企業の中に居ながら顧客の気持ちを理解するという高度なスキルを駆使し、それを企業のマーケティング戦略に生かす役割を担います。

CMOが日本で定着しづらい理由

CMOが日本で定着しづらい理由

CMOは企業のマーケティングにおいて重要な役割を担う役職であるものの、日本では依然として定着していないのが現状です。その代表的な理由として、以下の3つが考えられます。

  1. 経営者視点を持ったマーケターが少ない
  2. ジョブローテーション
  3. 根強いプロダクトアウト思考

それぞれの理由を順番に解説します。

①経営者視点を持ったマーケターが少ない

日本企業には、単純に広告やSNSマーケティングなどの実務を担う分野としてマーケティングを捉える傾向が見られます。そのため、「経営戦略にもとづきマーケティング戦略を検討する」といった経営者視点を持つマーケターが育ちにくいです。

もともとCMOは、マーケティングの視点から経営課題の解決を図るポジションであるため、組織を横断し、全社一丸となってマーケティングに取り組むことの重要性に企業自体が気付かなければ、役職として定着するのは難しいと考えられています。

今後、グローバル展開する日本企業が増加する中で、世界市場で競合他社に勝つために、全社一丸となりマーケティングに取り組むことや、継続的にマーケティング活動を行うことの重要性が高まるにつれて、経営者目線を持ってマーケティングの意思決定を行うCMOの役職が定着していくものと推測されています。

②ジョブローテーション

多くの日本企業には、「ジョブローテーション文化」が根付いています。ジョブローテーション文化が根付いている企業では、3〜5年程度で人事異動を行うことでジェネラリストの育成が目指されることから、特定分野の知識や経験を有するスペシャリストの育成が難しいです。

こうした企業では、スペシャリストの手腕が問われるような業務を遂行するために、専門的なノウハウを有する外部機関に業務委託を行う傾向があります。例えば、多くの日本企業では、広告代理店に自社のマーケティング業務を依頼しています。ただし、これでは、自社に専門的なノウハウが蓄積されません。

以上のことから、社内のマーケティング部門が発達していない日本企業が多く、たとえCMOが導入されているとしても、「実際の業務内容が従来の広告宣伝部長と変わらない」といったケースが目立っているのです。

とはいえ、昨今は「ジョブローテーション文化」ではなく、マーケティングを含めた業務の専門性を高めていくために「ジョブ型人事制度」を導入する日本企業が増えていることから、今後CMOの定着が積極的に図られる可能性があります。

③根強いプロダクトアウト思考

2000年頃より、日本の製造業を中心に、プロダクトアウト思考から脱却し、マーケットイン思考に変化しなければならないといった意識が強まりました。

プロダクトアウトとは、企業が作りたいモノや、企業の方針に合致するモノなどを重視しながら製品の開発・提供を行う考え方のことです。これに対して、マーケットインとは、市場の立場に寄り添いながら、市場が必要とするモノを提供していく考え方のことです。マーケティングとの関係性から両者の相違点を考えると、マーケットインの方がプロダクトアウトよりもマーケティングの考え方に沿っているといえます。

近年、日本企業でもマーケットイン思考の重要性が高まってきているものの、プロダクトアウト思考からマーケットイン思考への変化が完全に済んだとはいえず、CMOが定着しづらい要因の1つとなっています。

マーケットインとプロダクトアウトの詳細は、以下の記事で解説しています。

マーケットインかプロダクトアウトか|意味・違いを理解し選ばれる商品開発を

CMOに求められる資質

最後に、CMOの役割を全うするために役立つ資質の中から、代表例として4つをピックアップし解説します。もちろん、本記事で紹介する以外にも必要な資質は存在しますが、代表的なものとして把握しておくとCMOに関する理解を深められます。

顧客に寄り添える

ソーシャルメディアやスマートフォンなどの普及により、顧客の消費行動モデルが変化しています。具体的にいうと、現在は以下の4段階を経るSIPSモデルが主流です。

  • Sympathize(共感する)
  • Identify(確認する)
  • Participate(参加する)
  • Share&Spread(共有・拡散する)

こうした状況下で、顧客に購買行動を起こさせるには、まず「共感」を引き起こさなければなりません。そこで、CMOには、顧客の声を代弁できるレベルで顧客の気持ちを理解し、それを自社のマーケティング戦略に生かす能力が求められるのです。

データドリブンによる意思決定

マーケティング戦略を策定するために必要なデータの収集は、以下に例示するツールの発達によって以前と比べて飛躍的に難易度が下がりました。

  • CRM(Customer Relationship Management):顧客関係管理
  • BI(Business Intelligence):大量のデータを収集・蓄積・分析・報告し、経営上の意思決定に役立てる手法や技術
  • MA(Marketing Automation):マーケティング活動の自動化・効率化・効率化を実現するためのツール

こうした中で、企業の意思決定スピードを向上させるには、「CMOが上記のようなツールを用いて得たデータから必要なものを抽出し、どれだけ迅速に判断材料として活用できるようにするか」にかかっています。

これを実現するために、CMOには、データドリブン(データを収集・分析し、ビジネス上のさまざまな課題に対して判断・意思決定を行うこと)によって意思決定する能力が求められます。

高い情報感度

これまでも述べたように、マーケティングは常に新たなツール・手法が誕生しています。また、日常生活においても新たな物やトレンドが次々と誕生し、消えていきます。そのサイクルは、益々早くなる一方です。そのため、CMOとしては、マーケティングだけではなく、世の中におけるさまざまな情報に常日頃からアンテナを張り、情報感度を高めておかなければなりません。

情報感度を高めるために重要な施策の一例として、「情報収集の目的を定めて取捨選択すること」が挙げられます。すべての情報を取り入れようとすると、処理しきれません。自社のマーケティング戦略の策定にあたって、本当に重要な情報のみに目を通すには、どれだけ必要のない情報を捨てられるかが大切です。このことから、「何のために、どんな情報が必要となるか」を明確にしましょう。

別の切り口になりますが、個人でできることとして、新しい物やサービスで気になるものがあれば、まずは触れてみる・やってみることをおすすめします。

リーダーシップ

CMOはマーケティング関連の業務を統括する役職であり、マーケティング部門のスタッフを率いて企業の課題解決に取り組むことから、当然ながらリーダーシップが求められます。

社内では、マーケティング部門のスタッフ達と信頼関係を築きながら、経営戦略にもとづいたマーケティング戦略を同じ方向を向いて実行していかなければなりません。

また、社外では、企業のブランドイメージを定着させつつブランド力を向上させるために、適切な情報収集や発信を継続的に行っていく必要があります。以上のことから、CMOには、社内・社外を問わず能動的にチームを率いていくリーダーシップが必要不可欠だといえます。

まとめ

CMOとは、「最高マーケティング責任者」を意味する言葉です。マーケティングに関する業務を統括する役職であり、市場・顧客の調査のほか、マーケティング戦略の策定・実行などを担います。

CMOが担う代表的な役割は、以下の4つです。

  • マーケティング戦略の立案
  • 全社一貫したマーケティング活動を牽引
  • 自社のマーケティングの強みを作る
  • ブランドマネジメント

このように、CMOは企業のマーケティングに関して重要な役割を担う役職であるものの、経営者視点を持ったマーケターが少ないことや、ジョブローテーション文化、プロダクトアウト思考が浸透していることなどを理由に、日本では依然として定着していないのが現状です。

とはいえ、昨今はインターネットの普及を受けて、顧客の購買行動・生活様式・価値観などが多様化しており、全社一体となったマーケティング戦略の検討・実行が求められる中で、CMOの重要性が高まっています。

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本記事を執筆している東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)は、東京大学の100%出資の下、投資、起業支援、キャリアパス支援の3つの活動を通じ、東京大学周辺のイノベーションエコシステム拡大を担う会社です。投資事業においては総額500億円規模のファンドを運営し、ディープテック系スタートアップを中心に約40社へ投資を行っています。

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