2022/12/28

イントレプレナーとは?求められる背景、アントレプレナーとの違いを解説

イントレプレナーとは?

イントレプレナーとは?

イントレプレナー(英語:Intorepreneur)とは、社内起業家のことであり、「企業内において新たなビジネスを立ち上げる際に、その責務を担うリーダーとなって経営者としての能力を発揮する人材」を意味する言葉です。ビジネスシーンによっては、「イントラプレナー」とも呼ばれています。

近年の日本では、有名企業(例:博報堂、ソニー、ミクシィなど)を中心に、社内公募制の新規事業プランに関するコンテストを開催したり、イントレプレナーの支援・育成プログラムを設けたりする動きが目立っています。こうしたコンテストやプログラムに自身のアイデアを応募して認められた場合、イントレプレナーとして活躍できる可能性があります。

そのほか、上記のようなコンテストやプログラムを経ることなく、経営者的な才能があると判断されて、新規事業開発に関する部門に異動し、イントレプレナーとしての訓練を受けるというケースも見られます。

イントレプレナーが求められる背景

本章では、近年イントレプレナーが求められている主な背景として、3つをピックアップし解説します。

企業風土の改善

日本企業の中には、非効率的な企業風土が根付いている組織が少なからず見受けられます。

このような企業風土が根付いた企業では、意思決定の遅延・責任回避の体質・縦割り組織・発想の固定化などに悩まされる可能性が高いです。この状態が深刻化すれば、社員はただ漠然と業務をこなすだけになってしまい、企業の成長や事業の拡大などが妨げられる要因となります。

そこで、上記の問題を改善するために、社内でイントレプレナーを育成し、新たな事業を開発・実行することで、既存の企業風土の一新を図るケースがあります。

社員のモチベーションアップ

社内にイントレプレナー制度を導入すると、社員のモチベーションを向上させて、生き生きと働いてもらえる風土の醸成が期待できます。

また、優秀な社員を手放さずに、起業家としての力を試すチャンスを与えることにもつながるのです。従来のような年功序列の制度がある企業では、上昇志向のある優秀な人材が発言をしたり責任ある仕事を任されたりするチャンスを得ることが難しく、独立を目指し転職してしまうリスクがあります。

しかし、イントレプレナー制度を導入することで、若手社員を早期に育成し活躍させることが可能となるため、若く優秀な社員の流出を抑えられる可能性があるのです。

企業の持続的成長のため

現代は、社会が目まぐるしく変化し、製品の入れ替わりが激しいため、従来の売れ筋製品や顧客を維持しているだけでは、業績が先細りになってしまうリスクが高いです。

しかし、イントレプレナー制度の導入を通じて、新規事業の開発を進め、新たな売れ筋製品を生み出し、これまでになかったターゲット層へと顧客を拡大していくことで、売上を維持・増加させ、企業の持続的成長につながる可能性があります。

イントレプレナーとアントレプレナーの違い

イントレプレナーとアントレプレナーの違い

イントレプレナーと類似する言葉の1つに、「アントレプレナー(英語:Entrepreneur)」が挙げられます。アントレプレナーとは、事業家や起業家を意味する言葉です。ビジネスシーンによっては、「アントレプリナー」や「アントルプルヌール」などと呼ばれることもあるため、併せて把握しておきましょう。

下表に、イントレプレナーとアントレプレナーの主な違いをまとめました。

イントレプレナー アントレプレナー
採用 制約はあるものの、元となる企業の人的資源を一部利用できることがある(イントレプレナー自身の社内人脈や交渉力も必要)。 自ら、求人募集、スカウト、リファラル(人脈を通じた紹介)などの採用活動を行う。
資金 元となる企業から資金調達しやすい。 自力で資金調達する必要がある。
報酬 イントレプレナー自身やメンバーの報酬が最低限保証されることが多い。 事業が軌道に乗るまで、アントレプレナー自身が十分な報酬を受け取れないことがある。
モノ 企業の既存の設備・資材などを利用できることがあるものの、既存事業に影響のない範囲内に限られることが多く、社内での調整が必要。 立ち上げ直後は十分な設備・資材が自社内にない場合が多く、リースやレンタルすることがある。
自由度 ・活動範囲は元となる企業の理念・現業などに抵触しない範囲に限られるのが基本。
・経営陣の考えによっては、方向転換・事業打ち切りの可能性もある。
資金を提供してくれる投資家の意見を反映する必要があるものの、基本的にアントレプレナー自身の意思を優先できる。
知名度 元となる企業の既存のブランドを利用できる(企業・ブランドの理念に抵触しない範囲内で)。 著名な人材でない限り、ゼロの状態からブランドを構築する必要がある。
リスク これまで企業が培ってきた経営資源・ノウハウなどを使用できることが多く、比較的リスクは低い。 一般的に、アントレプレナー自身がすべてのリスクを負う。

アントレプレナーについて詳しく知りたい場合は、以下の記事で解説しています。アントレプレナーの概要や語源、ソーシャルアントレプレナーやインフォプレナーなどの関連語も幅広く取り上げていますので、ぜひご確認ください。

アントレプレナーとは?意味や語源、必要な心構え・スキルを解説

イントレプレナーの事例

本章では、実際のイントレプレナー育成事例の中から、代表的なケースを3つピックアップし紹介します。

三井物産

2019年、三井物産は「Moon Creative Lab Inc.(以下、Moonという)」の活動を開始しました。

Moonは、三井物産グローバル・グループの新規事業開発・ビジネスインキュベーションを目的とする組織です。世界中の三井物産グローバル・グループの社員からビジネスアイデアを募り、これまでにない新たなビジネスをゼロから形にしていくための場・機能を提供し、進化の加速を図っています。

アイデアを提案した社員は、Moonに席が用意され、企業に所属しながら起業する「アントレプレナー・イン・レジデンス(社内起業家)」として、Moonのメンバーとともに本格的に事業化を進めることになります。

Moonを通じて生まれた事業はさまざま存在しますが、ここでは代表例としてSuupを取り上げます。Suupは、電源・WiFi完備のスペースを利用者専用のオフィスとして提供するサービスです。

参考:三井物産 Moon Creative Lab Inc.

三井不動産

2018年、三井不動産は「MAG!C」の運用を開始しました。MAG!Cは、「三井の進取の気性」「イノベーションを起こすDNA」を起動し、社員個人が有するアイデアを引き出して新規事業創出を促すために、予算・人事・インセンティブ面でのサポートを充実させた事業提案制度です。

2020年には、MAG!Cから生まれた初めての社内ベンチャーとして、「GREEN COLLAR」が誕生しています。GREEN COLLARは、日本とニュージーランドでの生食用ぶどう生産・販売事業を行う会社です。

GREEN COLLARでは、季節が真逆の日本とニュージーランドで、高品質な日本品質の生食用ぶどうを生産し、世界へ向けて通年販売を行っており、生産技術の承継・革新や人材育成を行うことで、農業分野における社会課題の解決に取り組んでいます。また、今後は、新品種の開発と権利保護・ライセンスビジネスの展開を図るとしています。

参考:三井不動産 ビジネスイノベーション
三井不動産「オープンイノベーションによる新産業の創造」
INCUBATION INSIDE「【三井不動産】畑違いのぶどう事業に乗り出した社内起業家の「勝算」」

ソニー(SONY)

2014年、ソニーは「Sony Startup Acceleration Program(以下、SSAPという)」の提供を開始しています。

SSAPは、ソニーが持っている起業のノウハウや開発環境を、新規事業を創りたいと考えるすべての人に提供し、新規事業の立ち上げから販売・拡大までをサポートするプログラムです。スタートアップから大企業の新規事業に至るまで、クリエイターのビジョンを実現し、イノベーションエンジンとしてより良い社会を創っていくことが目指されています。

SSAPを通じて誕生した事業・製品はさまざまありますが、その中でもハイブリッド型スマートウォッチ「wena wrist」や、家中の家電のリモコンを1台に集約できる次世代リモコン「HUIS REMOTE COTROLLER」などが有名です。

なお、2018年より、SSAPは社外へのサービス提供も開始しており、代表的な成功事例として、子どもが嫌がる歯磨きを楽しい時間にする歯ブラシ「Possi(京セラ・ライオン)」の開発・市場への提供が挙げられます。

参考:ソニー Sony Startup Acceleration Program

まとめ

イントレプレナーとは社内起業家のことであり、「企業内において新たなビジネスを立ち上げる際に、その責務を担うリーダーとなって経営者としての能力を発揮する人材」のことです。

近年、日本企業では「企業風土の改善」「社員のモチベーションアップ」「企業の持続的成長」などの効果を期待して、イントレプレナーの育成に注目が集まっています。

有名企業を中心に、すでにイントレプレナーを育成・支援する取り組みが行われています。

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